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Denngonnbann 2016 vol148
いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
お恥ずかしいほど、つたない文章に加え、呆れるほどランダムな発行にもかかわらず、楽しんで いただける方がいてくれて、本当にありがたいです! ホームページにも「あっきーのブログ」と称し担当させていただいているのですが、こちらもまた開店休業中。 これはではいけないと、現在リニューアルに向け、奮闘中です。 伝言板ともども、よろしくお願い申し上げます。
さて、今回初めてこのタイトルでお届けさせていただきます。 シシドさんが直接「思い」「感じた」旅の一コマを綴っていこうと 思っております。
このたび訪ねたのは・・・
「八丁味噌のふるさと」として知られる愛知県岡崎市。
名古屋の東部に位置し、西三河地方の中心的なところです。 徳川家康誕生の地としても知られています。 天下統一の足掛かりとなった岡崎城は、江戸時代「神君出生の城」 として神聖視されたそうです。
その岡崎城から、西へ八丁(約870m)の距離にある八丁村 (現在:愛知県岡崎市八帖町)で味噌蔵が造っていたことから「八丁村の 味噌」→「八丁味噌」となりました。
そもそも、なぜこの岡崎の地で、独特な味噌が作られたかというと、江戸時代、陸路である東海道と矢作川(三河湾に注ぐ一級河川)の水運が交わる「水」「陸」交通が発達していたことが大きかったようです。 船着き場を活用して味噌の原料である「塩」を入手できたことに加え、この地域周辺で多くの大豆(矢作大豆)が生産され、同時に良質な天然水にも恵まれていたそうです。
また矢作川、伊賀川、乙川、早川に挟まれたこの地は、湿度が高く、食品が腐敗しやすいうえ、 夏は暑く、冬は氷点下の寒さとなる自然環境の厳しいところ。 そんな中、安定した品質製法が確立されたことにより、今に残る「高品質」な独自の味噌を作り 上げることに繋がりました。
ここで「八丁味噌」の製造工程を簡単にご紹介します。
原料は、大豆と塩と(麹菌)水。 製法は蒸した大豆を味噌玉にし、それを豆麹にして水と食塩で 仕込み、温度や湿度を人工的に管理することなく、自然に任せ 2年以上「二夏二冬」ながい熟成期間を経て造られます。
大きな桶に6トンの味噌を仕込み、写真のように円錐状に3トンの川石を積み上げじっくり寝かせます。一桶に約350個。 普通の味噌に比べ、水分が少ないことから、全体的に水分をいきわたらせるため、大量の重石が必要とされました。 漬け込まれる桶は、古いものでは170年以上前の「天保15年」に作られ、今も現役で熟成の時を待っています。 石積み職人さんは、一人前になるのに10年はかかると言われ、その技術は地震の際も崩れることがなかったそうです。
「八丁味噌」と「赤だし味噌」のちがいをご存知ですか?
それは、原材料のちがいによるものです。 八丁味噌は、大豆と塩と水でできた「豆味噌」。 触感はかたく、見た目から水分が少ないのがわかります。 料理に使うにも、溶けにくいだろうな、と感じるほど。 「赤だし味噌」は八丁味噌の風味をそのままに米麹を一緒に仕込むことで、まろやかさと、甘みが加わりました。
一般的に扱いやすい味噌をということで、造られたのが「赤だし味噌」です。 「だし入り味噌」は、だしの風味をくわえたもので「赤だし味噌」の「だし」とは異なります。 どちらの味も、ほのかな酸味と渋みが特徴のコクのある味。 煮込むほど、深い味わいとなり、風味がよいことで知られています。
そして江戸時代初期より八丁味噌を造りつづけている2軒の味噌蔵が、 カクキュー(創業1560年)と、まるや(創業1337年)です。 八丁味噌と呼べるのは、この「カクキュー」と「まるや」の2軒だけです。
生きた無添加自然派食品として、カラダに良いと注目され、世界30か国以上の人たちも絶賛。 輸入量が増加しているというのも、頷けます。 最近ブームの「名古屋めし」。美味しいものは、美味しい! きっと、ブームだけで終わらない、そんな気配を感じます。
カクキュー:愛知県岡崎市八帖町字往還通69番地 TEL(0564)21-0151(代)
まるや:愛知県岡崎市八帖町往還通52 TEL 0564-22-0222(代)
*両社は、旧道を挟んだ隣同士。工場見学は無料。お土産付です。
以前発行した「伝言板」が「旅日記のよう」という、お客様の声に後押しされ、今回書き 下ろした「ニッポン文化紀行」。 ドライブが唯一の趣味であるシシドさんが、実際にハンドルを握り〜距離感を感じつつ、知らない街を訪ねるという刺激的な時間を過ごす貴重な体験。 人となりを知っていただくいい材料になるかもしれない〜それがきっかけです。
心がけているのは、その地で愛されている独自の“文化”にふれること。 今回は「食」、名古屋=八丁味噌=味噌カツ〜味噌煮込みうどん・・・ 八丁味噌がどんなものかも、どうやって造られているのか、いまも受け継がれている独特な「味」 八丁味噌と赤だし味噌の違いすら知らなかった。 技術力の高さに驚き、今に残る〜残す「思い」の深さに感動し、自然の温かさや厳しさを巧みに取り入れ付き合う術、どれをとっても、本当に心に染み入るものばかり。 地元の人との「会話」を楽しむことから「知る」文化や歴史には、旅の醍醐味があります。 方言に耳を傾け、ゆったりとした時を過ごす。 そこから「暮らし」や「住まい」についても、たくさんのヒントをお土産にいただき、その瞬間を残すためにも、回を重ねていきたいと思っております。 気楽に、気長に、お付き合いいただけたら幸いです。
追伸
あっきーさんの祖母の郷里は、三河だという話を思い出し、小さいころ から、理由もわからず「八丁味噌」「赤だし味噌」の味が心をとらえ、 美味しいと思えるお味噌汁は、あの渋みのある独特な味。 不思議だなと思っていました。
今回は、思い叶って今年2月にあらたに豊田東まで開通した新東名を通り「八丁味噌の郷」へ。 名古屋めしを堪能してきました。
我が家の「八丁味噌」
お味噌汁を作るときは、カツオでだしを取った後に、普段使っている味噌に少量混ぜて使っています。 お味噌汁は、毎日のことですから、具によって、季節や体調にあわせて、量を調節して楽しんでいます。
我が家のおかずで、よく登場する「ホイル焼き」
ガスコンロの魚グリルで美味しくて、何よりカンタンにできるので、よく食卓にのぼります。 アルミホイルに残り野菜と、お肉かお魚をのせた上に、八丁味噌とマヨネーズを程よく混ぜ食材に たっぷりかけ火にかけます。味噌の香ばしい香りと、マヨネーズがよくマッチしてご飯に合う おかずになります。余ったら、ドレッシングとして、ゆで野菜にかけると、これまたイイ♪ 暑い時期には、白こんにゃくをゆでた後、冷蔵庫で冷やした上に、八丁味噌とみりんと、お酒、 お砂糖を少々。ゴマや、細く切った青シソをあしらって、冷製味噌田楽こんにゃくで一息。 日本の食文化って、あたたかくって〜やさしい!